タイトルがいきなり「Don’t Think, Feel!=考えるんじゃない、感じるんだ!」なフレーズに似た感じになってますけど、、、
久しぶりにデザインのお話ができそうなので、私の大好物の「余白」のお話し。
ブランドの印象を決めるブランディングデザインのなかでも、ブランドや会社・お店の情報を伝えたいパンフレットやショップカード、名刺などは、情報量がどうしても多くなってしまいます。
住所、電話番号、メールアドレス、営業時間、料金、地図、オフィシャルサイトのURL、今の時代ならどのSNSをやっているか、またそのIDなど、、、
お店や会社の情報をきちんと伝えておいて「ナン曜日のナン時なら営業している」「来店予約を取りたいときはこの番号へ!」「お店の場所はここです!」という直接的なアクションに結びつける営業向けの内容が必要です。
私が営業向けツールのオーダーを頂くと、余白が大好物なので、なるべく情報を最低限までそぎおとして制作します。
余白が多い方がデザイン的には洗練され、また、本当に必要な情報だけに目を向けられるからです。
センタリングの名刺を例に作ってみましたのでご覧ください!
上記の名刺は「名前」「社名」「電話番号」のみを表示しています。右の図は敢えて確保した余白をイエローで示したものです。
この名刺レイアウトの中には、実は「名前」「社名」「電話番号」だけでなく「余白」というオブジェクトも存在しています。ちゃんと計算されて置いているからです。
この場合の「余白」はただ余っているのではなく、美しいご挨拶のために名前や会社名をきちんと見せられるよう、敢えてあけているスペースです。
次に「やっぱりメールアドレスは入れとこうかな」と増やした場合です。
まだ余白は余白としてあけられています。
そして「やはり肩書を入れようかな」となった場合は下のイメージです。
まだ余白は余白としてあけられています。
社名に「デザイン」が入っているので、デザイナーの肩書きも本当はそぎ落としてしまいたい気分ですが。
そして「やっぱりホームページのアドレスはいるよね。そして住所も」となった場合が下のイメージです。
上部に設けていた余白は守られていますが、下は行数が増えたために重たい印象となり、全体のバランスが崩れ始めました。
そして「携帯だけじゃ心もとないので事務所の電話番号を入れよう。そうすると営業時間、定休日も入れなければ」となった場合は下記のイメージです。
むむ。
なんとか余白を確保したいので、ズラズラと改行して情報を入れまくるのではなく、スペースは少しずつあけてみましたが、それでも重たい印象です。
ここまでくるとセンタリングの美しさの意味も無くなってきました。
センタリングで置き続けているテキストが、行ごとに文字数が異なるために、左右幅にたくさんのズレが生じ、逆に散らかって見えてきてしまうからです。
この場合は、情報量からして、センタリングを守るよりも情報整理をして見せることの方が優先となったので左揃えにした場合が下のイメージです。
センタリングだと1行の長さが違うことでごちゃついていたのが、左揃えにすることで左部と下部に美しい均一トリミング余白ができました。
上部の人物情報と、下部の詳細情報とで分けたこともスッキリした印象になっています。
とはいえそろそろ「あえて余白をおく」ことはできなくなりました。
そして、最後に、ちょっと極端な例ですが(笑)、SNS情報や会社のホームページへとぶQRコード、そして地図や検索窓も入れて、情報量満載にしたイメージが下です。
余白は、あえて残せてはいません。
もはや、左揃えと改行を駆使してなるべく情報整理をした際に、なんとなく余っている右上のスペースだけとなりました。
情報量たくさんの名刺を否定しているわけではないです。
たとえば最後の極端な例が実はショップカードの裏面で、表面はロゴのみ美しく置かれている場合だったり、もちろん片面デザインの中でも文字サイズ、文字間、行間を考慮し情報整理もされたレイアウトであれば、美しいバランスにできると思っています。
でもやっぱり「いろいろ情報を入れてみたけど最後に残っちゃった余白」で仕上がったデザインは誰にでも作れると思っているので、せっかく私にご依頼いただいたなら「計算された余白がおいてある」デザインをご提案したいと思っています。
下記ギャラリーもご覧ください^^